台地開析が進んで丘陵化した地域
琉球層群石灰岩と国頭層が分布する地域である(Flint et al. 1959;氏家・兼子
2006a).台地の開析が進んで丘陵化した地域であり,小規模な谷が平行状に形成されているため,痩せた尾根と細長い谷が複雑に発達する.
氏家・兼子(2006a)の地質図は,本土復帰以降の調査で作成されたもので,地質と
1948 年地形との関連を考察できるようにはまとめられていない. Flint et
al.(1959)の地質図は層序等の解釈が現在では否定されているが,岩石分布図として地質と地形の関連を推定可能な情報となっている.図 では a,b
に同じ範囲の Flint etal.(1959)の地質図と切土盛土分布図を表示した図中の Tn は琉球層群石灰岩,Tns
は琉球層群国頭層(礫層,砂層)あるいは知念層(礫層,砂層),Tss・Tsm は島尻層群砂岩・泥岩に相当する.小規模な谷はこの Tns
分布地域に発達しており,尾根部分には Tn
が分布する傾向がある.この地域は大規模な宅地造成が行われ,尾根を切り崩し土砂で谷埋めを行い平坦化され,切土と盛土が複雑な形状で分布する.
この地域の起伏に富む開析台地は標高
40 〜
100mに広がり,東側は野国川の上流域,西側は北谷町桑江の海岸低地に流下する複数の小規模河川の流域に位置する.この開析が進んだ台地には多数の痩せた尾根と細長い小規模な谷がほぼ平行に発達し,谷密度は非常に大きい.島尻層群泥岩を基盤とする丘陵地域に分布する盆状谷とは大きく地形が異なる.
地形改変前にまとめられた
Flint et
al.(1959)では,琉球層群国頭層(砂・礫)が広く分布し,石灰岩が一部存在する地域(層序は現在と異なるため読み換えている)である.細長い平行する谷が砂・礫部分,石灰岩部分が尾根となっていたと推定される.
那覇市宇栄原,浦添市城間と前田付近(渡邊ほか
2014),中城村南上原付近にも樹枝状に谷が発達した丘陵が存在する.これらの基盤は,前者 3
地域が島尻層群豊見城層小禄砂岩部層,後者が島尻層群豊見城層中城砂岩部層よりなる(氏家・兼子2006a).島尻層群砂岩分布地域の谷密度は,本地域に比べて小さい.北谷町桑江〜沖縄市南桃原の起伏に富む開析台地は,大規模な宅地造成が行われ,尾根を切り崩し土砂で谷埋めを行い平坦化されて住宅街となっている.
by GIS沖縄研究室