空中写真オルソ画像作成法 |
空中写真は心射投影のため写真周辺部で写真が歪む。また撮影された事物の標高差によりその縮尺がことなり、空中写真を地図のように扱うことは出来ない。オルソ化空中写真は計算により、上記歪みを除去し、平射投影に変換した空中写真で、地図と同様に利用することが可能な写真である。 国交省のオルソ空中写真DLシステムは下記的なデータをDLできる非常に重要なサービスであるが,撮影年度が古いことが欠点である。今回オルソデータを利用し,土地利用や環境変化等を把握するため重要な情報源で有ることを再認識した。どうにか簡単な手順でオルソ空中写真を自作できないか検討した結果,手軽にできるオルソ化手法を見つけることができた(ソフトと利用方法)。 航空測量会社などでは,高価・高性能のシステムを使って撮影した空中写真よりオルソ画像データを作成する。このような会社に張り合っても仕方がないし,予算が多額にあれば,このような会社に発注すれば測量精度のデータを入手できる。 今回は国土地理院撮影空中写真等を入手し,そのデータをGISを使って解析したい等測量精度がさほど高くなくても作業可能である場合で,さらに研究予算がない場合,どのようにしてオルソ画像を作成するかということを目的に作業方法を調査した。 オルソ処理が可能なシステムで,個人レベルで購入可能(無理して)なものにはTNTmipsがある。価格は$6000で決して安くはない。(GIS沖縄研究室では入手済み) 通常オルソ処理は1組のステレオペア写真からDEM(地形モデル)を作成し,その標高値データであるDEMと空中写真からオルソ画像を算出する。 TNTmipsの技術資料を調査するとステレオペア画像からDEMを算出する工程が非常に複雑で,なおかつ手数がかかる処理となっているが,すでにDEM が存在する場合はステレオペア写真からDEM作成処理を省略する事が可能になる。 日本国内の場合国土地理院から「数値地図50mメッシュ標高」が公開されており,このデータを利用すれば,オルソ処理の工程が非常に簡略化できると考えた。 国交省の空中写真DLシステムからDLした空中写真をサンプルに,1/25000地形図と50mメッシュ標高を利用してオルソ画像を作成した。 |
1)空中写真のジオリファレンス 1/25000地形図を使って,空中写真のジオリファレンス処理を行った。 コントロールポイントは5点与えた。(p070401_1) 2)幾何補正(アファイン変換) アファイン変換は与えられたコントロールポイントを使って回転と軸方向の伸縮を算出し,画像処理を行う手法である。通常は最低3点のコントロールポイントで可能であるが,与えた5点の平均値から変換を行う。(p070401_2) 3)幾何補正(プレインモード) アファイン変換と同様な処理であるがコントロールポイントより空中写真撮影位置を算出し,写真の傾斜を考慮した変換を行う。通常は最低4点のコントロールポイントで可能である。(p070401_3) 4)オルソ化画像 数値地図50mメッシュ標高を利用したオルソ画像。コントロールポイント5点であるが各ピクセルの標高値を上記DEMから算出しその位置を平射投影し作成している。(p070401_5) 5)オルソ画像の検証 オルソ画像と1/25000地形図のオーバーレイで確認。 コントロールポイント5点のみで,高精度にマッチングしている。特に山地部では尾根や谷が一致する。 |
空中写真オルソ化処理を沖縄本島北部地区の山岳地域で試してみました。比較のためにアファイン変換によるデータも作成しています。このような場所で空中写真にジオリファレンス処理を施した場合、写真周辺部ではその部分の標高も影響し大きく歪みます。多くの場合隣接する写真とのモザイクを行う場合、大きなズレを生じ、満足できないモザイク空中写真となってしまいます。そこで、今回は連続する2枚の空中写真をオルソ化し、モザイク空中写真としてその出来を検証してみます。なお空中写真は国交省の空中写真DLサービスよりDLした1977カラー空中写真を利用しました。 @オルソ化空中写真のモザイク画像 Aアファイン変換写真のモザイク画像 写真@は細部にわたり地形図と一致する。また写真のつなぎ部分も比較的綺麗に連続する。モザイク写真として合格レベルと判断できる。 写真Aはそれぞれの写真内の周辺部分でズレが見られる。沢や尾根が地形図からずれていることが確認できる。また、2枚の写真の接合部分では、道路や尾根、沢が大きくずれていることが確認できる。2枚の空中写真の歪みの大きい周辺部分の接合ということで、著しい食い違いとなっている。 国土地理院50mメッシュ標高を利用した単写真オルソ化処理は、比較的手軽に高精度のオルソ化空中写真を作成できる手法と考えられる。 |