[論説] 沖縄島中南部の地形形成と中城湾
沖縄地理21号 , p1-16
「中城湾海底地形地質調査報告」(海上保安庁水路部 1985)等のGISデータ化と解析より,沖縄島中南部の地形,中城湾の形成プロセスを明らかにした.中城湾海底下,沖積層により埋め立てられた古中城川は,氷期低海水準期に島尻層群が露出する丘陵に発達した河川であった.過去1万年間の沖積層堆積速度から,島尻層群露出丘陵の侵食による中城湾の生成は可能である.古那覇川では,氷期の海水準低下期に下流域に分布していた琉球層群が上流側の島尻層群分布域の下方への侵食を防いだ.古中城川は氷期の低海水準期には,全流域に島尻層群が露出するため,島尻丘陵と古中城丘陵の高度差が発生し,分水界付近に崖・急斜面が生じた.この急斜面が崩壊することで,古那覇川流域が侵食されウィンドギャップが形成された.後氷期の急激な海面上昇による古中城川の水没により,中城湾の誕生と,中城湾周辺の独特の地形が現れることとなった.
キーワード:沖縄島, 中城湾, 島尻層群, 琉球層群, 丘陵
沖縄島中南部の地形形成と中城湾
J-STAGE
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