はじめに
【2014/8/22_追加情報】
はじめに
沖縄島では、国土地理院が公開している高精細標高データであるDEM5が、沖縄島中南部の北谷-沖縄市南部以南(2次メッシュ392735、392736位南)と大宜味村の一部しかない。沖縄島北谷-沖縄市以北がいまだに公開されていない。この地域で利用できるDEMとしては、1/25000地形図等高線から生成したDEM10しかない。『スーパー地形』(ダン杉本氏作成)から、両者の地形詳細表現に差があることがわかる。沖縄島嘉手納-沖縄市以北でも、将来、国土地理院からDEM5が公開されるかもしれませんが、この地域には広範囲に米軍基地が存在している。もし、これが原因で未公開ということであれば、今後も公開されない可能性もある。以前のブログ『okinawaDM等高線から高精細DEM』で、okinawaDMの等高線ベクトルデータからDEM5レベルの詳細標高データが生成できると示した。
今回は、北谷、沖縄市、嘉手納町、読谷村、うるま市範囲のokinawaDMの等高線と標高点を使って、5mグリッド標高を生成した。
ベクトル等高線
北谷、沖縄市、嘉手納町、読谷村、うるま市範囲のokinawaDMから等高線ベクトルデータを抽出した(図ー1)。この範囲の地形図の等高線間隔は、2mと詳細地形を復元するには十分な値となっている。今回は、作業範囲が広いため、断線化した等高線をつなぐ作業は行っていない。また、標高点の数が多数であることから、DEM生成時、この標高点も利用した。
DEM5
ベクトル等高線と標高ポイントから生成した5mグリッド標高(DEM5)は図-3に示した通り。比較データとして国土地理院10m標高データ(DEM10)から作成した陰影付き彩色標高図(図‐4)も付した。
この彩色状態で両者を比較すると、精度の違いが明瞭にあるようには見れない。詳しく見れば、丘陵台地内の谷地形や、同地域内に分布する円錐丘や石灰岩・崖がより明瞭に表現されているように観察できる。また、嘉手納飛行場の滑走路がDEM5からは判読可能になっている。
サイクリック彩色図
標高0~20m区間内をレインボーカラーで彩色し、さらに、20~40m区間を同様に彩色、これを20m間隔で繰り返すレインボーカラーサイクリック彩色図でDEMデータを彩色、地形情報の精度を比較する。(DEM5彩色図、国土地理院DEM10彩色図)
この主題図からは、DEM5がDEM10を上回る地形解像度があることが確認できる。
DEM5とDEM10比較
海岸低地や台地平坦面上の地形表現に違いが強く表れた(図-7、8)。
海岸低地に最も大きく差がみられる(図中の黒囲み)。DEM10では1/25000地形図の10m間隔等高線、一部5mの間曲線を使ったグリッド標高値となっている。従って、海岸低地のグリッド標高値は、10から海岸線標高0mへの比例配分の値となっているようで、真の標高情報とはなっていない。一方、DEM5では2m間隔等高線より算出されるので、海岸低地のグリッド標高値は、より正確に計算されている。
比較的平坦な緩斜面である台地上にあるの施設、嘉手納飛行場付近(図中の白囲み)でも、DEM5では滑走路等の平坦部の構造が読み取れるのに対し、DEM10では、一定方向の緩斜面と表現されている。
丘陵台地内を通過する高速道路は、DEM5ではその通過場所(図中の茶囲み)が、高まりを開削、低地を盛土で通過している状況が判読可能である。また、丘陵台地を開析する谷地形が明瞭に判読可能である。
まとめ
沖縄中部、国土地理院DEM5が公開されていない地域について、okinawaDMの等高線ベクトルデータからDEM5レベルの詳細標高データが生成できることが分かった。今回は、等高線不連続部分の加筆作業は行わなかった。ブログ『okinawaDM等高線から高精細DEM』では、等高線の連続作業で、急斜面や崖地形などを詳細に表現できることが判明している。今回の沖縄中部地域についても、詳細地形が必要な場合はこの作業を追加すれは良いと考えている。
サンプルデータ
『okinawaDM等高線から高精細DEM』の沖縄中南部DEMデータを公開します。
範囲は、北谷町、沖縄市、うるま市、嘉手納町、読谷村の範囲、一部恩納村が含まれています。沖縄島中南部の国土地理院DEM5が公開されていない範囲です。このデータ中、北谷町の大部分と沖縄市の一部は国土地理院DEM5作成範囲と重なっています。
https://www.gis-okinawa.jp/2024c/MokinawaDEM.zip
DEMhs.tif:16bit符号付整数値、ヌル値-32768
緯度経度系JGD2000、0.5秒グリッド
『okinawaDM』の等高線ベクトルと標高ポイントの高さ情報からDEMデータを生成しています。等高線は『okinawaDM』のベクトル線をそのまま利用しており、崖地形などで途切れた等高線を繋ぐ追加修正作業等は行っていません。この作業を行えば、さらに詳細なDEMデータを生成可能です。(ブログ https://www.gis-okinawa.jp/blog/okinawadm等高線から高精細dem[作成中]/)
等高線ベクトルと標高ポイントには属性情報として標高値が付加されているが、少数ではあるが、この値に誤りがある場合がみられる。これはDEM生成時に、不自然な凹凸となることで判別が可能である。このような場合は、周辺等高線から類推し、正しいと思われる数値に変更した。
今回作成したDEMデータは、『okinawaDM』の該当範囲が日本直角座標系XV(世界測地系)で作成されたものであることから、同投影法にて2mグリッド標高データ(浮動小数)を生成後、緯度経度系JGD2000、0.5秒グリッド標高データをリサンプリングし、公開データとした。この精度でも、1/25000地形図等高線より生成した国土地理院DEM10よりも十分高詳細地形が確認できる。なお、上記の日本平面直角座標系XV系の詳細DEMが必要な場合は当方にご相談ください。
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